赤本名言
2017年の赤本が名言だったのでメモ
はしがき
大学入試の季節が近づいてきた。寒い雪の日の朝、電車の中で受験生と思しき若者が単語帳を開いているのを見るにつけ、もうかれこれ数十年前になるが、かって自分自身が受験生だった時の姿を重ねてしまう。
高校三年生の冬、受験に失敗した。後で振り返ると、漫然と塾や予備校に通い、基礎もできていないのにレベルの高い参考書に手を出し、やった気になっていた。実際はたいして勉強していないのに根拠のない自信と慢心があって、案の定それはもろくも打ち砕かれた。大学で何をやりたいのかさえはっきりしないまま、よく考えずに志望校を決めていた。
浪人して改めて自分を見つめ直し、多くの本を読んだ。1年間の計画をしっかりと自分で組み立てたいと考え、自宅浪人の道を選んだが、思い返せば、悶々ともがき苦しみ、天井を眺めてはのたうち回るような日々であった。自分を見失い、自堕落な毎日をすごすこともあったが、試行錯誤の中でなんとか目標を見定め、少しずつ自分のペースをつかめるようになっていった。
受験当日のことはほとんど覚えていないが、手応えはあったものの、自信があるというわけではなかった。合格発表の日もすぐに見に行く勇気がなく、行ったときには既に掲示板のまわりは閑散としていたが、しばらくその場にたちつくして離れることができなかった。
大学受験はあくまでも人生における通過点にすぎず、それ自体が目的ではないのだが、受験を通して身についたこと、学んだことはもちろん、様々な努力と試行錯誤重ねた経験は、将来なんらかの形で人生の支えとなるかもしれない。雪の日に受験生を見かけるたびに、もう一度やり直せと言われてもできないような濃密な日々を懐かしくおもいだすのである。
最後になったが、家族や友人など、支えてくれる周囲の人たちへの感謝を忘れず、受験本番で持てる力を存分に発揮できるよう健康管理にも十分に注意し、見事合格の栄冠を勝ち取られることを願ってやまない。
編者しるす